秘境駅殺人事件 4

mizuki

2015年01月10日 19:01





あいちゃさんの新作「宗谷本線秘境駅殺人事件」、mizukiのファイナルアンサーです

完結編は、1分前に公開されましたので、どうぞ あいちゃさんのブログと作品を先にお読みください^^

あいちゃの小部屋

それでは、まだ「宗谷本線秘境駅殺人事件」を読まれていない方にネタばれになってしまわないように少し下に掲載しますのでスクロールしてください^^
















【推理】
作品では、宗谷本線の秘境駅の様子があいちゃさんの鋭い視点から、きめ細かい描写で綴られています。
書きだしの旭川駅の描写、エレベーターの長さ、その手すりが透明でクリスタル風であること、天井や壁は木製でぬくもりを感じられること。
あいちゃさんの作品はいつもビジュアルな表現の巧みさで、読み手はありありとそのシーンを思い浮かべることができます。
出発前の列車の様子、猛暑の様子、ざわめく乗客、そして「なよろ1号」はホームを離れました。
あいちゃさんのブログでは、実際に宗谷本線に乗り、秘境駅巡りを楽しんだことが書かれていますので、その体験がそのまま小説の素材になっているのでしょう。
景色の描写は、宗谷本線を下りながらとてもクリアに、読み手はあたかもその列車に乗って一緒に秘境駅巡りをしているように感じられるくらい見事に綴られていきます。
それは安牛駅を出て、青葉が眠ってしまうところで途切れます。
お話の進行は青葉の視線を通してなので、南幌延、上幌延、幌延、下沼駅の様子は書かれていないのです。
目を覚ましてからの下沼駅は駅の役割や乗降客のことばかりで、ビジュアルな描写は黄色い貨車駅のことしかありません。
青葉はまだ、睡眠薬が効いているのかもしれません。
続く豊富駅、徳満駅、勇知駅の描写も駅構内や線路の様子、植物の群生の移り変わりなどで、そろそろ日も傾きはじめ、景色も見ごたえがあると思うのですが、その情景はなぜか描かれません。
勇知駅を過ぎて、青葉はその風景に「月の世界」を感じます。
時刻は4時半ごろでしょうか。
まだ日差しは明るいはずですが、月の世界を感じるならもっと遅い時間のように感じました。

抜海駅に到着したのが16時33分、次の列車で抜海駅を出発するのが18時28分。
日の入りが18時半ごろなので、視界いっぱいに広がる夕焼けが楽しめたと思うのですが、天気が悪かったのか、2時間の間の描写は駅ノートを読んだことしか書かれていません。
抜海駅を出ると、再び青葉の視点はとてもビジュアルになります。
日が沈み、漆黒の原野を走る列車からは鉄道関連の計器が放つ以外の光が一切見えない闇。
わずか2行の文章に、その様子がまざまざと浮かびます。
さすがあいちゃさんの筆力^^

さて、青葉が眠らされてしまったために描写されなかった区間は後日、青葉と恭介が捜査のために歩きながら紹介されます。
まずは事件の起きた安牛駅。
駅構内から、さらには駅前のロータリー、貨車駅舎の中に張ってある時刻表、トイレが使用禁止であること、とてもよく観察されたきめの細かい描写が続きます。
さらに駅を出て、道道256号線の様子、小学校跡地の石碑、そして南幌延駅に到着です。
この描写も大変細かく、実際の様子がみて取れるようです。
そして、上幌延、幌延への道中もあいちゃさんの観察眼の冴え渡ったビジュアルな表現が続くのです。

以上を踏まえますと、一つの仮定が成り立つのです。
まずは、時間の計算だけを行ってみましょう。
南幌延駅と安牛駅は徒歩で30分と書かれており、実際にグーグルのルート検索で調べてみますと29分となっておりました。
安牛駅から幌延駅までの徒歩での時間は書かれておりませんが、同じくグーグルで調べると2時間と出ました。
いったい何のための計算でしょうか?
南幌延駅で下車をして、安牛駅まで歩いて戻り、さらに安牛駅から幌延駅に歩いて向かうと2時間半かかると言う計算なのです。
例えば、南幌延駅を15時4分に出発し、安牛駅で折り返して幌延駅に向かうと17時34分に到着するのです。
もし安牛駅で6分ほど時間を過ごすと、17時40分に到着です。
その時間に幌延駅に着いても、もう元の列車に追い付けるわけもなく、何の意味もないと思われるかもしれませんね。
正直言いますと、わたし自身も意味を見出したくはないのです。

ただ、この計算によってすべてのピースが当てはまってしまうのです。
青葉と恭介の歩いたルートは、なぜあれほど辺りの様子を詳細に描くことができたのでしょうか。
安牛駅から下沼駅までの描写がなかったのは、ストーリー上、青葉が眠らされていたためだけなのでしょうか。
さらに、下沼駅から抜海駅まで車窓からの様子がほとんど描かれていないのはなぜなのでしょうか。
抜海駅で次の列車に乗ったとたん、再び活き々とした風景の描写に戻ります。

青葉と又村の他に、第三の乗客がいたのではないでしょうか。
その乗客は15時4分に南幌延駅で下車をして、歩いて安牛駅に向かいます。
安牛駅で数分ほど過ごし、今度は幌延駅を目指して歩きはじめます。
そして幌延駅で17時43分発の稚内行きの普通列車に乗ります。
その列車は夕闇の迫った北海道の原野を走り、抜海駅には18時28分に到着、そこで青葉を乗せると18時45分に稚内に到着です。

その乗客は安牛駅→幌延駅間を乗車していないので、あえて青葉を眠らせて記述を避けているのではないでしょうか。
その代わりに、そのときに歩いた様子を9月10日に青葉と恭介が歩いた状況に再現したのではないでしょうか。
そのとき青葉と恭介が傘をさしてはいなかったようですが、調べてみると9月10日の道北の天気は雨だったのです。
また、抜海駅までの情景があまり描かれないのも、幌延駅で元の列車の一本後の2時間後の列車に乗ったため、空や風景の様子が違っているので詳しく書けなかったのではないでしょうか。
荒涼とした「月の世界」を感じたのも、押し迫る夕闇の時間のころだったからではないでしょうか。
抜海駅で青葉と合流すると、再び風景の描写を解禁したのではないでしょうか。
その第三の乗客の名前を、わたしは書くことができません。
ただ、その方のブログには、青葉と同じ時期に宗谷本線に行った、と書かれていることを皆様にお知らせして、わたしの推理は終りにいたします。


追記
残念ながら(幸運なことに^^)、推理は外れてしまってネタバレにならなくなったのと、白フォントはスマホなどでは読めないので普通のフォントに戻しました^^



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