4歳になりました 17

mizuki

2011年07月16日 17:10



さて、 訪れるほとんどの方が大和に肯定的な見方をしてくださり、スタッフはほっとしたところでした。
戦争を知らない世代に限らず、戦争を体験したお父様にSLの大和を見せたところ、感激されて涙を流されたという話はスタッフの胸を熱くしました。
過去は過去、この大和もこれからの平和を望んでいることでしょう。
海外の方の反応は同じでした。
そうしてみなさん大和のことを褒めそやします。
なんだか自分の身内を褒められているみたいな、誇らしげな思いでした。

大和には悲しい歴史があります。
これは大和に限らず、戦争自体がとても悲しい歴史ですね。
そういう歴史も伝えていく必要があるでしょう。
シムのオーナーが呉市を訪ね、大和に関する資料を展示する許可を取りました。
さっそく大和の内部全面を使って、大和や戦争の悲しい歴史、平和の大切さを訴えるパネルを作って展示しました。
この展示もとても好評でした。
大和は過ちを繰り返さないためのモニュメントでもあったのです。

SLにインするといつも大和の作者まさかどさんが、大和の周りを飛び回りあちこちを手直ししたり、修正をしたりしています。
お客さまがいらっしゃると、すぐに飛行機を出して乗せ、エンジンから煙を出して墜落しかけたり、スリルいっぱいの遊覧飛行のサービスですw
そうしてまた作業に戻って明け方まで・・・
きちんと睡眠をとっていたのかな^^;

図書館で借りた大和の本と見比べ、ちょっと違うところを伝えると、さっそく直しにかかります。
わたしはまだまだ初心者で、何でも思いつくまま伝えていたのですが、今から考えると、かなり難しい作業もあったことが分かりました。

ある日のこと、本の写真や図面を見ていると、大和の甲板は一直線に平らではないことに気がつきました。
艦首が高くてそこかになだらかに下り、主砲のあたりから上り坂になります。
なぜそうなっているのか理由は分かりませんが、この傾斜が再現されているとSSを撮るときにとても迫力があります。

まさかどさんにそのことを伝えましたが、これには応じてくれません。
この傾斜のことは、もちろんまさかどさんも知っておりましたが、作業が難しいとのことでした。
やはり無理なのなかと諦めたころ、まさかどさんが、
かなり危険だけどやってみよう、と作業に入りました。

あとで、これは大変な作業だったことが分かりました。
ものづくりをされる方はご存知でしょうが、SLではオブジェクトは東西南北の方向にしか動かせません。
オブジェクト同士を水平や垂直に動かして位置を調整したり、気に入らなければ元に戻すのはそう難しくありません。
でも、いったん角度をつけてしまうと、オブジェクト同士の位置合わせは困難です。
オブジェトの移動がその置かれた角度に対して水平に動くのではなく、水平線に対して水平に動くためです。
大和はプリム数も多く、SLの制約上全部のリンクはかけられません。
いくつかのブロックになっているのでしょう。
そのブロックをいったん解除して、傾斜をつける部分だけをひとつずつ選択してひとまとめにして、一気に角度を決めなければなりません。
艦首は細かいパーツがたくさんあります。
もし選択漏れがあったり、途中で選択が外れてしまえば、元の状態に戻してやり直すのも一苦労です。
作業は一度だけのチャンスです。

傍らで息を凝らして見ていると、まるで大きな鯨が口を開いたように艦首が斜めに持ち上がりました。
まさかどさんが、ほっとして喜んでいます。
大和がますます男前になりました^^

さて、中々まとまらなかったのが、シムの運営方針です。
大和をどう位置づけしたシムとするのか。
港に大和が停泊していたら、ただの軍港に見えかねません。
シムのオーナーはそれには特に気を遣って、ミリタリーっぽいものは一切置きませんでした。
それではどういったテーマとするのか。
週2回の定例会議が開かれていましたがいつも中々まとまりません。
シムのオーナーサイドの方針で、大和は妖精の国にたどり着いた設定としたいと決まりました。
なんだか、ビジュアルにするのはとても難しそうなコンセプトです。
まるでシュールリアリズムにならないかな・・・
あまり納得していない人も多いみたいでした。

少し胸騒ぎの予感が・・・^^;


思い出